唐戸は、1894(明治27)年から開始された唐戸湾の埋め立てによってできた町で、明治以降わが国が近代化をとげていくなかで繁栄した名残のいくつかをとどめている。 明治時代の半ばから昭和初期にかけ、唐戸周辺には英国をはじめ8か国の領事館が開設されたほか、幕末に伊藤博文や井上馨など長州藩の5人に密航留学生の仲介をしたことで知られるジャーディン・マセソン商会やサミュエル・サミュエル商会などの外国商館も進出して国際色豊かな町として繁栄していた。