仁田浦に張出した伊奈崎の南西に開いた浦で府中（厳原）より17里８町の地であった。伊奈崎の高所の遠見壇に江戸時代遠見番所が置かれていた。万治４（1661）年の検地帳では、伊奈郡志多留村として、高80余石、当地に知行高が低い給人（郷士）が多いが、彼らは宗氏譜代の家臣ではなく、土着の勢力で在所の字名は古府里（こぶざと）という。
　対馬の水田は当邑から始まると伝えており、地名は古府里の清水がしたたるという意から転じ、かつては小伊奈と称したという。