明治30年頃、2階建の町屋として新築、大正14年から昭和2年頃にかけて増改築され、現在の地上3階地下1階の料亭になった。外観は町屋からの発展形デザインであるが、建て増しされて組み込まれた部分も全体の中で違和感なく連続しており、いやみのない端正な意匠となっている。
大正末期から昭和初期にかけて、金沢では3階建の料亭、旅館が数多く建てられたが、現存するものは少ない。犀川方面からは4階建にも見えるこの建物は、古い景観を残す蛤坂周辺でもひときわ目立つ貴重な歴史的景観である。(金沢市)