かつての今江町では、木場潟と今江潟をつなぐ前川に多くの荷舟が行き交った。明治の中頃までは、潟を利用した水上交通がこの地の輸送の中心であり、以後も昭和30年代までは、川の両側につながれた数十の川舟が、舟運のなごりを残していた。しかし、昭和30年代末から始まった今江潟干拓工事に伴う河川改修で、生活の場として親しんだ前川は、よどんだ大水路として変わっていった。川面は変貌したが、前川沿いに土蔵が建ち並び、新橋付近の釣月亭や川縁へのアーチ状の出入り口が、河岸の草木とともに風情を醸し出していた。

（今江・前川の現地説明板の抜粋）