ここは、北九州の台所と呼ばれ、古くからの市場の姿を残す「旦過市場」の路地裏エリア。飲食街だが、初めて訪れた人がまず味わうのは異空間に迷い込んだような不思議な感覚だ。映画のセットを思わせる小さな別世界。その名も「新旦過」。確かに大正初期にできた市場に比べれば「新」だが、それでも一番古い店は半世紀以上の歴史を持つ。ただ、ほとんどの店は比較的新しく、若い客も多い。昔ながらの町並みに若い感性が加わることで、まさにディープという表現がぴったりの魅力あるスポットへと変貌を遂げたのである。

　古くは料亭などが建ち並ぶ歓楽街だったという新旦過。一帯には隠れ家的空気が流れる。懐かしい路地裏の光景には、広い世代を受け入れる懐の深さを感じる。外観からは店内を創造できない店が多いのもおもしろい。予想外のおしゃれな内装だったり、予想以上の料理だったり。この意外性こそが新旦過街の真髄と言えそうだ。（小倉都心部　まち歩きマップより）